もう困らない!工務店の営業マンの断り方
新築一戸建てを建てることは人生に一度の大切なイベントですから、工務店やハウスメーカー1社の話を聞いただけで、すぐに決めてしまうことはまずないでしょう。何社かと様々な話をした上で、本当に建てたい家の姿が見えてきて、いよいよ契約する会社が決まってきたとき、それまで相談に乗ってくれた他社の営業マンに何と言って断ればいいのか、と悩んでいらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
本来、工務店の営業マンに断りを告げることには何の問題もありません。それでも、これまでに骨を折ってくれたことを考えると、なかなかきっぱりと断ることができない、という気持ちが芽生えてしまうのはしかたのないことかもしれませんね。
ここでは、そんな方のために、工務店の営業マンに断るときのアドバイスをさせていただきます。
工務店の営業マンの断り方
営業マンに断りを告げる場合には、基本的に毅然とした態度で行うことが大切です。
今はまだ検討中なので、またにしてください
予算がオーバーしそうなので悩んでいます
他社からの提案もちょっと気になるので、もう少し待ってください
このようなあいまいな断り方では、まだ脈があると思われて売り込みが続き、余計に断りにくくなってしまったり、後々まであとを引いてしまうことになりかねません。返事を長引かせると、双方にとってただ無駄な手間がかかってしまうことになります。
毅然とした断り方とは、はっきりと「他社と契約した」と告げることです。他社と契約したとはっきり言えば、どんなにしつこい営業マンでもあきらめてくれます。自分の心は決まっているということをきちんと伝えましょう。
「当社ではなぜ駄目だったのか」と聞かれてしまう場合もあるかもしれません。そのようなときは、金額などの明確な理由をはっきり伝えましょう。
伝える手段としては、電話で何の問題もありません。わざわざ会って告げることは時間の無駄であるとも言えます。電話は苦手な方はFAXでもいいと思います。
「今までのアドバイスには心から感謝していますが、諸般の事情で地元工務店と契約することになりました。どうもありがとうございました」
というFAXを送ったら、その後のアプローチはなくなった、という人もいます。
工務店の営業を毅然と断ることができない方へ
毅然と断ること、と言われても、それができたらそもそも悩むこともない、と思う方もいるかもしれません。なかなか毅然とした態度をとることができないから、断れないとも言えるのです。
- 面と向かって断れない。断りは電話がいいのか、会って話したほうがいいのか。何と説明しようか、どういう言い方をすれば嫌な感じを与えないか、などと考えてしまってなかなか連絡できない……。
- もうすでに腹は決まっているのに、まだ決まってないと嘘をついてしまった……。
- 電話で断ったつもりなのに、逆に、お会いしてお話ししたいとしつこくされて、つい会ってしまうと、営業トークを駆使してこちらの不満を言いくるめようとしてくる。貴重な休日にそんなやりとりをするのが精神的にも苦痛……。
- いっそのこと、電話を無視してしまおうかとも思うけど、それもまた社会人としては非常識な行動かと悩んでしまう……。
このような思いで悩まれている方は、たくさんいます。
それまでは良好な関係だったことから、相手を傷つけてしまうのではないか、断ってもしつこくされるのではないか、と小さな恐怖を抱いてしまうことは、どんな方にでもあるのではないでしょうか。
実際には、どんな営業マンでも100%成約というわけにはいきません。つまり断られることにも慣れているのです。断られたその場では落胆するかもしれませんが、くるりと背を向けた途端にもう次のお客様のことを考えています。過度に感情移入する必要はありません。
ここで、いくつか断り方のポイントを紹介します。
- 見積り前に断る
たいていの場合、営業マンは見積りの提出に2日ほどの時間をかけます。実際に見積りを作成する仕事は、設計担当などが行っていることが多く、無理なスケジュールをねじ込んだりしていますので、それを断ることによって、その営業マンの肩身が狭くなってしまうことも考えられます。
そういったことまで気を回してしまうような方は、まず金額以外の各社の提案を特色で選び、絞り込んでから見積りを依頼するといいかもしれません。
ちなみに通常の工務店では、営業・設計・施工の担当者が別々で、営業マンが設計や現場の詳しい説明までできるケースはあまりありません。 - 本当の理由をすべて言う
各社がまったく同じプランを提案しているわけではありません。その中の1社に決めるには、金額をはじめとして様々な理由があるはずです。それをはっきりと伝える断り方が誠実です。
もちろん、誠意をこめて丁寧に断るべきですが、正直に本当の理由を伝えなければ誠意は伝わらないと思います。断ったからといって、何も問題はありません。 - その会社の良かったところを評価し、他社が良かったところもきちんと伝える
断られたとしても、今までの対応や提案のどこがよかったか、他社のものと比べて正直どうだったのかという本音を教えてあげることによって、その営業マンにとってプラスになります。他社のほうが優れているとした点について、弁明をする営業マンもいるかもしれませんが、そんなときは、「これからはそう感じさせないような説明を工夫されてはどうですか?」とかわしましょう。 - 断る理由について逆提案されたら
他社の提案した金額を理由に断ったら、逆に「安くする」「勉強する」と言われることもあるかもしれません。
そんなときには、「そうやって値段を叩くことをするつもりはありません」と言いましょう。
同様に、他社の提案などについて「うちも同じデザインにする」といった提案をされた場合にも、「そういうことをするつもりもありません。逆にそうされたら嫌ですよね」と言いましょう。
工務店の営業の理想的な断り方とは
理想的な営業マンへの断り方とは、ただ単に断るのではなく、真摯な態度で相手に対する感謝と評価を表明し、これ以上、物理的に時間をとることはできないことをきちんと伝えることです。
こうした断り方をすると、営業マンはそれ以上食い下がることができなくなってしまいます。
「あなたの提案に興味をもちましたし、素晴らしいと思いました。それに、これまでのあなたの行動と熱意にはとても感謝しています。でも、他社の提案も受ける中で慎重に検討した結果、今は、貴社の提案よりも他社の提案のほうに興味をもっています。ですから、私の時間は他社との話を進めることに使いたいと思っているので、今後はあなたとの話に時間を使う余裕がなくなってしまいました。もし、あなたの提案をもう一度検討することがあれば、必ずこちらから連絡をします。今まで本当にありがとうございました」
相手を傷つけるのではないか、断ってもしつこくされるのではないかという小さな恐怖を、真摯な感謝と評価の言葉で包んでしまうのです。こういった言い方をすれば、相手を傷つけることはありません。
また、もし金額的に見合わなかったのであれば、
「あなたの対応には大変満足しています。どうもありがとうございました。しかし、貴社の提案ではコスト面であきらめざるを得ませんでした。大変残念です。あなたに完成までお手伝いしていただきたかった」
といった趣旨でお断りの意思を伝えるといいでしょう。
しつこい工務店の営業マンには、上司に報告するための”理由”を伝えてあげる
有能な営業マンであれば、他にもたくさんの見込み客がいますから、見込みが薄いと判断すれば、すぐに営業先リストから外すでしょう。
多くの営業マンは、上司の指示ありきで動いているのが現実です。優秀でない営業マンは、上司から盛んにハッパをかけられていて、だからなんとしても受注をとろうとしてきます。そういう営業マンは見込みがありそうかなさそうかということに関係なく、積極的にアプローチせざるを得ない状況にあります。
もしかしたら、その営業マン自身、見込みの薄い顧客へのアプローチをやめたいと思っているかもしれません。そんな場合に必要なのは、上司に報告するための「アプローチを中断するための理由」です。
上司が聞いて納得する理由、例えば「すでに他社と契約した」ということを伝えることができれば、その営業マンはプレッシャーから逃れることができ、アプローチを止めることができるようになります。
工務店営業マンの「最後の提案」を聞いてあげるという方法も
営業マンに対して断りを告げることに何も問題はありませんが、それでも、断られてうれしい営業マンはいません。しかし、営業の仕事というのは、それも当たり前と思わなければとても務まらない仕事です。
もし、今まで良くしてくれた営業マンに対して、一方的に断りを入れることがためらわれるような場合は、たとえばコスト面での調整を相談してみるというように、営業マンとしての「最後の提案」の機会を与えてみてはいかがでしょうか。
営業マン側からすると、それによって自分の活動が認められていることを認識できますし、それが受け入れられるかどうかによって、あきらめをつけることができます。
一種の「引き際」として、最後のチャンスを作ってあげても良いのではないでしょうか。
まとめ ~工務店営業マンをはっきり断ることもやさしさです
「できあがった家にガッカリしないための営業マンとの付き合い方」という記事にも書きましたが、誠意のある工務店なら、話を進めるうちに、ちゃんと「断りやすい状況」をつくってくれるはずです。
「決断されるのはお客様です。納得されるまで、ゆっくりと考えてください」
そんなふうに申し出てくれる工務店なら、付き合いやすいですよね。
信頼できる工務店の見抜き方については、「営業マンの「本音」を見抜き、いい工務店を見分ける方法」もぜひ参考になさってください。
工務店の営業マンによっては、断りを告げたときにその人の”本性”が垣間見えてしまうこともあります。それまで良くしてくれた営業マンなのに、断った後に、この人の会社で建てなくて本当によかったと思うようなことを言われた、という人もいるのです。そんなこともありますので、断るときには、しっかりとした心構えが必要です。
しかし、営業マンにとっては断られるのも仕事のうちです。断ることには何の問題もありません。はっきり断ることは一種のやさしさと言えるでしょう。
内容をじっくり検討して決めた結論なのですから、何も恥ずかしいことはありません。
今回は縁がなかったものと考え、良い家を建てるためのひとつの試練だと割り切って、考えすぎずに営業マンに接してください。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。